6/25(土)国府地域の《日本遺産》学習セミナー報告その2

 日本遺産とは、文化庁が認定しているものです。個々の文化財のみを認めるのではなく、地域の歴史的魅力や特色を通じて、日本の文化・伝統を語るストーリーで認定されます。

 今回、日本遺産に認定された『飛騨(ひだの)匠(たくみ)の技・こころ―木とともに、今に引き継ぐ1300年―』のストーリーは下記のようになっています。この「国府盆地の中世社寺建築群」について、先月号でもご紹介した学習セミナーが行われました。

 座談会では、特に「まちづくり」にかかわる意見が多く出されました。こういった国府地域内にある誇りある歴史遺産やそこに流れている先人の技と知恵、これを守っていくこと、もっと町内外の多くの人に知ってもらい、地域の活性化に継げていきたいということ、またこのことを伝えていける人材の育成など更なる地域課題が堀り起こされた形となりました。

 今後も、日本遺産巡りツアーや、児童生徒さんたちへのわかりやすい学習セミナーなどを考えていきたいと思います。

 

—-学習セミナー資料より

飛騨工(ひだのたくみ)制度」と匠の技・こころ

・飛騨匠は奈良時代に全国で唯一定められた「飛騨工制度」にはじまり、古代以来、実直な木工技術者として描写されてきた(万葉集、今昔物語集等)。

・飛騨匠の技術は、木の性質を見極め、生かす技術。正確な技術と木の美しさを生かした質素な美しさが特徴。

・山に囲まれ雪深い気候と、使える木の種類が多いという飛騨の山の特質が、匠の技を育み、派手さを嫌い、寡黙で実直な気質を生んだ。

 

<ストーリーを構成する4つの要素>

  • 国府盆地の中世社寺建築群

古代寺院跡の多い国府地域では中世の建造物も多く残っている。近代以前の飛騨の社寺建築の流れを知るストーリー

  • 高山城とゆかりの建築群

名城とうたわれた高山城は約300年前に取り壊されたが、いくつかの建物が移築されている。飛騨匠達が高山城と高山のまちづくりに励んだころを偲ぶストーリー

  • 近世・近代の匠達

匠の技は大工の一門によって代々伝授されてきた。家系ごとに伝授されてきた作風を感じながら作品を巡り、匠の伝統と感性に触れるストーリー

  • 木を生かす伝統工芸

木を見極め、生かす技術は工芸にも発揮された。一位一刀彫、飛騨春慶などの作品を見て、技に触れることで木とともに生きる人々の姿を体感するストーリー